数理情報学講座は7人の教員(加古、鴨、城、高田、新出、西岡、山下)から構成され、下記に示すように各研究室は情報科学における多彩な研究を行っています。 また、数理を基盤とし、数理情報の基礎から数理情報の応用へと幅広い分野の教育を実施しています。
加古研究室(教授:加古富志雄)
計算機による数式処理に関する研究を行っています。有効浮動小数型を実装した 近似代数計算用の数式処理システムの開発および、線形計算やグレブナ基底の計算などの 代数演算を近似代数の観点から算法を研究する。
鴨研究室(准教授:鴨浩靖)
実数など連続な対象の計算論の研究をしています。計算の理論は、古典的には、 有限種の文字の有限長の列に対する操作として扱うことができます。それに加えて 、無限長の列に対する操作も限定的に付け加えて、実数など連続的な対象を扱うこと はできるようにするものが、連続な対象の計算論です。関数解析学と一般位相空間論と における基本的な定理などを、計算の観点から精密化することに力を入れています。 縮小写像定理とDiniの定理について、成功しています。現在、他のいくつかの定理について、 研究を進めています。また、Urisohnの万有距離空間の計算論的な構造についても調べています。
城研究室(教授:城和貴)
高性能計算研究室では、高性能計算、可視化、マルチメディア、パターン認識、モバイル、 バイオインフォマティックスの各分野を横断した研究プロジェクトを数多く推進しています。 例えばパターン認識をベースとした研究テーマには、LVQを利用したテキスト分類、短期地震予測の ためのICAを使った地電流解析、コンテンツ指向音楽検索システムなどがあります。可視化をベース とした研究テーマには、3次元画像のための自動視点決定アルゴリズム、大気科学者のための 3次元可視化ツール、VRコンテンツ開発などがあります。変ったところでは、 携帯電話を利用したi-Appliによる数値計算 、PlayStation3を利用したバイオインフォマティックス・プログラムの実装などがあります。 いずれの研究テーマも高性能計算という技術を土台としたものです。
高田研究室(助教:高田雅美)
コンピュータで数学を行う場合,紙の上の数学とことなり,有効桁数の影響を 考慮しなければなりません.この影響が思ったより大きく,実際にプログラムを開発し, コンピュータ実験を繰り返す必要があります.また,1台のコンピュータでできることは 限界があるため,複数台のコンピュータを用いた並列計算プログラムも開発しなければなりません. 複数台利用することによって,思った以上の計算能力を得ることが可能となります. そのため,身の回りにある携帯電話やゲーム機を活用したユビキタスコンピューティングにも 力をいれています.
新出研究室(准教授:新出尚之)
新出研究室では、論理プログラミングに関する研究を行っています。計算機に推論を行わせること によって様々な情報処理を行おうという分野です。現在行っているのは、論理プログラミングに基づく 自律エージェントの構築に関する研究です。人間は、状況の変化に動的に対応して意志決定をし、 目標達成に向けた一貫的な行動をとることができます。その意志決定過程をモデル化し、 コンピュータに、周辺の状況や自分の選択するべき行為に関する推論を行わせ、 人間に近い行為決定を行える人間代理エージェントを構築することを、研究目標としています。
西岡研究室 (准教授:西岡弘明)
現在の主要研究分野は人工知能(Artificial Intelligence)の論理学的研究です。 人工知能の中で問題の解決の為に高度な推論能力を必要とする分野を研究対象としています。 当研究室では研究手法として論理学的手法と組合せ数学的手法を主に用い,「人工知能分野への 組合せ数学の応用」「導出原理 (Resolution Principle)に基づく自動定理証明法」 「プログラム理論」等の他に「LISP言語を基礎とする人工知能向き記号処理」や「禁煙支援システム」 「診断・相談型Applet自動生成システムの構築」「料理献立作成支援システム」等を 研究テーマとしています。
山下研究室(准教授:山下靖)
山下研究室では、主に3次元の図形(多様体)に関連する幾何構造の可視化に関する研究を 行っています。研究対象である3次元多様体と呼ばれる図形は、様々な数理的方法論 (幾何的、代数的、解析的)を用いて研究されている非常に重要な数学的概念です。 特に近年計算機を用いたアプローチにより、フラクタル的な性質を持つ非常に複雑な構造を あつかう研究が可能になってきました。本研究室では、このような構造を可視化と通して より深く理解する事を目指しています。
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地球環境情報学分野
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