可視化GPとは

背景

 本学理学部情報科学科では、5年前より学科の教育の特徴として、可視化を前面に打ち出したカリキュラム開発に取り 組んできました。2003年にはマルチメディア情報工学、2005年には可視化情報学という新分野の授業科目を設立し、各研 究室での卒業研究でも可視化に関する課題の割合が増えてきました。このような実績をもとに、2005年に理学部から文部 科学省に提案した教育改革経費(概算要求)が採択され、可視化工房が設立されました。さらにその実績をも とに、2006年に文部科学省平成18年度現代的教育ニーズ取組支援プログラム(現代GP)に申請し採択されたのが可視化 コンテンツクリエイタ養成プログラム(可視化GP)です。

取組概要

 サイエンティフィックビジュアリゼーションに代表されるようなコンピュータシミュレーション結果の可視化や、 写真・動画像等のアナログデータのデジタルコンテンツ化では、 その専門技術者を育成する高等教育機関は我が国には極めて少ないと言えます。 一方、高品位の可視化コンテンツは、デザイン力が問われるため知的財産と位置付けられます。
 本取組は、我が国の将来の基幹産業となるコンテンツビジネスの中核を担う女性高度技術者育成を目的として、 WEBコンテンツクリエイタ、マルチメディアクリエイタ、VRクリエイタ、 可視化コンテンツプロデューサの4コースと基礎共通科目からなる 可視化コンテンツクリエイタ養成プログラムを執り行うものです。 当該プログラムでは、 理学部の学生が自分の興味とIT関連の知識に応じてコースを自由に選択し、 コンテンツクリエイタやプロデューサの認定を受けることで、 より高度かつ多彩な職種につける人材を育成します。

本学基本理念における位置づけ

 本学では基本理念の中で『男女共同参画社会をリードする人材の育成―女性の能力発現をはかり情報発信する大学へ―』 を掲げ、中期目標・計画では、「情報伝達能力の養成」、 「現代社会が要請する人材需要を的確に把握し、新たな職業分野等に対応すること」 を提示・策定しています。 本取組は、我が国の将来の基幹産業となるコンテンツビジネスの基盤を支える人材を育成することが第一の目的であり、 そのような新規産業分野での女性の能力発現をはかり、 コンテンツを創造する教育を通して情報発信能力を養成することが目標です。

現代的ニーズ

 平成16年度における日本のコンテンツ産業の市場規模は12.8兆円、 世界市場は124兆円と言われており、高成長を続けています。 しかし世界のコンテンツ市場全体に占める我が国のシェアは約10%と少なく、 更に日本コンテンツの海外展開規模は3,258億円と世界市場の僅か0.3%に過ぎず、 最大シェアを誇るアメリカ合衆国に大きく引き離されているばかりか、 国家的なコンテンツ振興政策を推進している韓国や台湾に激しく追い上げられています。
 わが国では平成16年5月に政府知的財産戦略本部が「コンテンツビジネス振興政策〜ソフトパワー時代の国家戦略」 を発表し、国会では同年6月に議員立法で「コンテンツの創造、保護及び活用の促進に関する法律」 (平成16年法律第81号)が成立しました。 これにより、我国での抜本的なコンテンツ振興政策の方向が打ち出されたと考えられます。 その方針とは、1)業界の近代化・合理化、2)資金調達手段の多様化、3)促進税制、 4)海外展開促進と海賊版対策、5)人材育成などです。
 これらのうち人材育成に関しては高等教育機関が積極的に関わるべきですが、 現在我が国の高等教育機関において、 教育カリキュラムとしてデジタルコンテンツクリエイタや同プロデューサの養成を行っているところはほとんどありません。 そのような教育カリキュラムは、学科やコースとしてコンテンツ関連のカリキュラムを有す コンピュータ専門学校にいくつかの事例が見られるにとどまっています。
 コンピュータシミュレーション結果の可視化やアナログデータのデジタルコンテンツ化等、 高品位の可視化コンテンツは、デザイン力が問われるため、コンピュータによる自動化は困難であり、 知的財産と位置付けられます。本プログラムは、これらの人材ニーズに対応して、 理学の基礎学力と専門知識を有した高度専門家として社会に受け入れられる可視化コンテンツクリエイタ (可視化コンテンツという知的財産を専門に創造・発信できる女性技術者)を育成するためのものです。