地球シミュレータについて
「地球シミュレータ」は地球を丸ごとシミュレーションできるスーパーコンピュータである。1990年代の地球温暖化問題をきっかけとして、1997年国家プロジェクトとして開発が始まり、2002年3月より運用が開始された。高解像度の詳細で正確なシミュレーションが可能になり、風や地震、地球温暖化のシミュレーションなどの高度な研究に活用されている。
地球シミュレータは、640台の計算ノード(PN: Processor Node)を、640×640の単段クロスバネットワークで結合させた分散メモリ型並列計算機である。各PNは、ピーク性能8Gflopsのベクトル型計算プロセッサ(AP: Arithmetic Processor)8台が主記憶装置16GBを共有する共有メモリ型並列計算機となっている。全体ではAPが5120台でピーク性能は40Tflops、主記憶容量は10TBとなる。その主記憶容量と演算処理速度において世界トップレベルの規模と能力を持つ設備である。
地球シミュレータの第一義の役割は、シミュレーションによって、自然災害からの人類の生命・財産の保全に寄与することで、人と自然の共生とそれによる人類の持続的発展に貢献することである。
見学した感想
まるで体育館のような巨大な建物の中に地球シミュレータを構成している320筐体の計算ノードや65筐体の結合ネットワーク、たくさんの磁気ディスク装置が並んでいて、その様子に圧倒された。
地震、雷、電磁波の影響や被害を防ぐシステムの話も聞かせて頂き、シミュレータがきちんと動作するためのさまざまな工夫や配慮に感心した。免震構造のシミュレータ棟と免震構造ではない他の建物を繋ぐ通路は、両者が別々に振動しても振動を吸収できる構造になっていてシミュレータ棟には接合していないらしい。
シミュレータ棟内の照明は特殊で、別の場所で照明した明かりを導いて照らしている。これはノイズ対策の一環であり、照明の交換にも便利ということらしく感心した。
地球をまるごと計算できる地球シミュレータによって、科学的な将来予測が可能になったことは素晴らしいことだと思う。このシミュレータが今後さまざまな研究に生かされていくのが楽しみだ。